ニューロンの生物物理 5-3 樹状突起の能動的性質

樹状突起スパイク研究の歴史

  1. ガラス微小電極法
    • 小さなSDスパイク?(細胞内記録法による計測)
    • SDスパイクは樹状突起を伝搬する.(細胞内記録法による計測)
  1. IR-DIC顕微鏡下での樹状突起パッチクランプ法
    • 細胞体発火によるスパイクの逆伝搬(back-propagation)
  1. 高速Ca2+イメージング法
    • 樹状突起Ca2+チャネル活性化によるCa2+スパイク

皮質錐体細胞,小脳プルキンエ細胞,嗅球僧帽細胞など多くの神経細胞樹状突起でdendric spikeが発生する.

スパイクの種別

  • 細胞体のスパイク:Na+スパイク(somatic spike)
  • 樹状突起スパイク:Na+スパイク(backpropagation)

          Ca2+スパイク(local dendritic spike)
            voltage-gated Ca2+ channelによる
            NMDA channelによる(NMDA spike)

樹状突起の電位依存性イオンチャネルの分布

  • 内向き

海馬CA1錐体細胞で,Na+チャネルは樹状突起に沿って均一に分布(Magee & Johnston, 1995).
Ca2+チャネルはタイプごとに異なった不均一な分布.

  • 外向き

海馬CA1錐体細胞で,2種類の電位依存性Kチャネルが存在する(Hoffman, 1997).
不活性化を示さないタイプは均一に,速やかな不活性化を示すAタイプKチャネルは先端へ行くほど高密度.

活動電位閾値下の膜電位変化において,T型Ca2+チャネル,A型Kチャネル,Ihチャネルなどの静止膜電位付近で活性/不活性化するチャネル群は特に重要.