Cp.14 - Passive electrical properties of dendrites influence synaptic integration

  • 実験で得られたデータから,ニューロンの受動的電気性質を洞察する.(このsectionを理解するのに,”『ニューロンの生物物理』, 宮川 博義・井上 雅司 著”(以下”黒本”)pp.22-24, 148-153が参考になる)
  • 次の3つの受動的電気性質が樹状突起の電気的構造に寄与する.
    • 膜抵抗(Rm),膜容量(Cm),細胞内抵抗(Ri)
  • 高いRiと低いRmは受動的に樹状突起を伝搬するときのシナプス電位の減衰量を増やす.これは活動電位発生部から遠いところでより顕著.

 ■ Fig.14.1 Ri, Rm, CmがEPSPの減衰に及ぼす影響

    • NEURONを用いたmodel study. シナプス入力位置とRm, Riを変化させた.
      • Vsoma:somaの膜電位.Vsynシナプスしている部分の膜電位.
    • 統制条件(パネル中央列)で,シナプス入力位置をsoma(A)からmid-apical dendrite(B)へ動かすと,somaでのシナプス電位は小さくなる(約2:1).これは樹状突起の膜キャパシタへの充電が膜抵抗を通して失われるため.さらに入力部位を遠くにする(C)と,入力抵抗は高くなり,キャパシタンスは小さくなるため,局所的なシナプス電位は高くなり,樹状突起-細胞体間のEPSP減衰は劇的に大きくなる(約10:1).
    • Rmを小さくする(パネル左列)と,入力部位でのシナプス電位にはそれほど影響しないが,someでのEPSPの大きさに対しては大きな効果がある.
    • 皮質と海馬の錐体細胞モデル研究から,コンダクタンスの不均一な分布が存在し,apical dendriteの先端は電流が漏れやすい可能性が示唆されている.
    • Riを小さくする(パネル右列)と,シナプスから放射状に流れる電流が大きくなる.これによってEPSPの減衰は小さくなる.