"Dendrites" 2nd edition

Cp.14 - Concluding remarks

樹状突起は多様な受動的,能動的膜特性を備えている. 電位依存性チャネルはすべての神経細胞の樹状突起から見つかっており,cell-specificな違いがタイプ,特性,分布に存在する.加えて受動的膜特性は細胞種によって異なり,さらにその位置も単一細胞内で…

Cp.14 - Action potential bursting and dendritic excitability

強いシナプス入力によって活性化される樹状突起Ca2+スパイクは,バースト発火を引き起こす. この理由は単純で,細胞体へ流れこむより持続する内向き電流が細胞体や軸索での複数の活動電位をトリガーするためである. backpropagationは複数の方法でバースト…

Cp.14 - Dendritic spikes and synaptic integration

もしスパイクが樹状突起で起きるなら,樹状突起のintegrative powerは最小化されるように思われる.なぜならば,(これまでのセクションで議論してきた)興奮/抑制を含む多くの時空間相互作用が,少数の興奮性入力によって起こる樹状突起スパイク発生によって…

Cp.14 - EPSP shunting by backpropagating action potentials

backpropagationはシナプス電位ともまた相互作用する. 活動電位を発生させるのに必要なコンダクタンスは大きく,ゆえに見た目の膜抵抗は相当な低下を生み出す.そしてそれは軸索と細胞体に主に局在化されている.この短絡が効果的にこれらの部分の膜時定数…

Cp.14 - Subthrethold attenuation by K+ channels

EPSPによるK+チャネル活性化の効果もまた考慮されるべきである.閾値下のEPSPであっても電位依存性K+チャネルは活性化することが示されている. ふたつの別々のイオン導入電極によって(グルタミン酸注入で)2ヶ所にEPSPを起こしたところ,ふたつの電極の相対…

Cp.14 - Subthreshold amplification of EPSPs by Na+ and Ca2+ channels

樹状突起におけるチャネルのタイプ,密度,分布に依存して,電位依存性コンダクタンスによる微妙な方法でPSPは増強かつ形成されるかもしれない. CA1錐体細胞において,(細胞体から)遠くに誘起されたEPSPは傍細胞体部の持続するNa+電流によって増幅される(An…

Cp.14 - What are the functions of dendritic excitability?

backpropagationと樹状突起スパイクはいくつかの機能を担っている. 即時的効果のひとつは,電位依存性Ca2+チャネルの活性化およびMg2+ブロックが解除されたNMDAチャネルを通した樹状突起内Ca2+濃度上昇(を誘発すること)である. 他の重要な機能である樹状突…

Cp.14 - Dendritic spike propagation

樹状突起で発生したスパイクは細胞体,軸索まで伝搬しにくい.ただしいくつかの条件のもとでは順伝搬が起こりうる.※ この章ではFig. 14.6を参照する点が多々ある. 樹状突起スパイクが細胞体まで到達できるかどうかは,樹状突起の形態,チャネル密度,興奮/…

Cp.14 - Effects of synaptic excitation and inhibition on action potential backpropagation

Backpropagationに影響を与える要素としてシナプス興奮と抑制もまた重要な要素である. CA1および皮質V層錐体細胞で,樹状突起のシナプス(入力による)脱分極はbackpropagationの尖頭樹状突起への伝搬を増幅させることが示されており(Stuart & Häusser, 2001…

Cp.14 - Effects of dendritic voltage-gated channels on action potential backpropagation

不均一なチャネル分布が,樹状突起における活動電位伝搬に対する理解をより一層難しくする. Hoffman(1997)らはCA1錐体細胞尖頭樹状突起のA-type K+チャネル密度が細胞体から距離が離れるにつれ増加すること,加えてdistal dendriteのK+チャネルは細胞体およ…

Cp.14 - Effects of morphology on action potential backpropagation

backpropagationが樹状突起を伝搬するとき,活動電位が軸索を伝わるのと同様にその形態が影響する.GoldsteinとRallはdiameter(直径),tapering(先細り),branching(枝分かれ)が軸索における活動電位の伝搬に重要な要素であると述べた. GoldsteinとRallは活…

Cp.14 - Action potential backpropagation

軸索での活動電位発生に伴い,活動電位は樹状突起にも逆伝搬する(Backpropagating action potential).これは皮質および海馬錐体細胞,海馬介在細胞,黒質ドーパミン/GABA作動性ニューロン,嗅球僧帽細胞などで観察される. これらの細胞での逆伝搬活動電位…

Cp.14 - Propagation of action potentials and dendritic spikes

活動電位は様々な要因によって影響を受ける複雑な方法で樹状突起を通って伝搬する.この章では軸索で発生した活動電位と樹状突起で発生した活動電位が,樹状突起の形態,電位感受性チャネル特性,シナプス抑制から受ける効果について考える.

Cp.14 - Spikes can be generated in dendrites

いくつかの条件下では,樹状突起もスパイクを発生する. その存在は,CA1神経細胞尖頭樹状突起で細胞体/軸索集合スパイクに先行する発火現象としてfield potential recordingによって初めて示された. 近年の皮質および海馬スライス,in vivo実験から,樹状…

Cp.14 - Action potentials are initiated in the axon

活動電位は”initial segment spike(IS spike)”と”somato-dendritic spike(SD spike)”成分から構成され,ISスパイクは常にSDスパイクより先に発生する. ■ Fig 14.4 軸索での活動電位発生 A: 小脳プルキンエ細胞の軸索と細胞体でのsimultaneous patch-clamp r…

Cp.14 - Dendritic voltage-gated channels contribute to synaptic integration

シナプス電位は線形もしくはわずかにsublinearな加算性をもつことが言われているが,樹状突起は明らかに受動的でなく,静止膜電位での電位依存性チャネルは能動的でかつ樹状突起の統合的複雑性に寄与している. 電位依存性チャネルの性質を知るのに,以下の…

Cp.14 - Compensating for dendritic attenuation

細胞体中心理論のひとつの予測は『シナプスの活動電位に寄与する能力はsomaから離れるに従って減少する』というものである. この,somaに近いシナプスと遠いシナプスの圧倒的な不均衡を軽減する要素はふたつあり,『voltageの抑圧はchargeの抑圧よりかなり…

Cp.14 - Excitaion-inhibition interactions in dendrites

抑制は,シナプス統合における興奮性シナプス入力の時空間加算を制限する別な要素である. 抑制はまた,興奮性入力の時間加算の時間窓を制限することで,スパイクタイミングにも影響する. EPSPの樹状突起統合と同様の原則がIPSPの場合にも適用できる. ■ Fi…

Cp.14 - Normalization of temporal summation

樹状突起の時間加算を,不均一なチャネル分布が均一化している可能性がある. apical dendriteにおいて,Ihの密度増加が場所依存的な時間加算性*1を相殺しているかもしれない.(Magee 1999; Williams & Stuart 2000など) *1:fig 14.2のような

Cp.14 - Spatial and temporal integration

Rm, Ri, Cmだけがシナプス電位の加算と活動電位発生部への伝搬に関わる重要な要素ではなく,樹状突起の構造とシナプス入力位置もシナプス加算に影響する. ■ Fig 14.2 樹状突起構造とシナプス位置がEPSP加算にあたえる影響 NEURONを用いたシミュレーション.…

Cp.14 - Resting membrane properties

※ 黒本pp.22あたりが参考になる. τmは膜容量と電位に依らないリークコンダクタンスによって決まる. いわゆる受動的膜性質はより正確に言うならば静止膜性質とするべきで,その大部分が静止膜電位で開く電位依存性チャネルによって決まる.

Cp.14 - Experimental estimates of passive electrical properties

Cmは約1 μF/cm^2の生物学的定数だと広く考えられており,実験的にも種々の神経細胞でそのように確認されている. Rmは多くの種類の細胞で調べられ,細胞腫によってその数値は非常に広範囲に渡る. Riは様々な実験で調べられ,哺乳類では70-500 Ωと予想されて…

Cp.14 - Passive electrical properties of dendrites influence synaptic integration

実験で得られたデータから,ニューロンの受動的電気性質を洞察する.(このsectionを理解するのに,”『ニューロンの生物物理』, 宮川 博義・井上 雅司 著”(以下”黒本”)pp.22-24, 148-153が参考になる) 次の3つの受動的電気性質が樹状突起の電気的構造に寄…

Cp.14 - Summation and propagation of PSPs depend on dendritic cable propertis

ほとんどのニューロンでは静止膜電位は閾値よりも過分極しており,単一EPSPではこのギャップを超えられない. 活動電位を発生させるためには,多数のシナプス入力の加算が必要である*1. シナプス入力の加算を考えるうえで重要なファクターは,樹状突起の受…

Cp.14 - The action potential is the final output signal of most neuron

多くのニューロンは活動電位によってコミュニケーションしている. 活動電位は,電位依存性Na+,K+チャネル開放によるによって"all-or-none"*1な膜電位の反転で生じる. いくつかのシナプスはデジタル-アナログの複合信号*2を用いている可能性がある. 多く…

Cp.14 - Introduction

樹状突起は形態学的に前シナプスからの入力を受け取っている複雑な構造である. しかしながら,樹状突起の機能はなんなのか?またそれらはどのように特徴的なモザイク(?)であるシナプスとチャネルによって成り立っているのだろうか? ここでは種々の樹状突起…