Cp.14 - Action potential bursting and dendritic excitability

強いシナプス入力によって活性化される樹状突起Ca2+スパイクは,バースト発火を引き起こす.

  • この理由は単純で,細胞体へ流れこむより持続する内向き電流が細胞体や軸索での複数の活動電位をトリガーするためである.
  • backpropagationは複数の方法でバースト発火に寄与する.ひとつめはbackpropagationによって生まれた,後脱分極(ADP)に寄与する電流が細胞体へ流れ戻ってくることによるもの(Lemon & Turner, 2000).ふたつめは樹状突起でのCa2+スパイク発生によるものである(Traub et al., 1994).

  ■ Fig. 14.11 同時に起こった樹状突起の脱分極とbackpropagationに応えて,樹状突起Ca2+スパイクはバースト発火を促進する

    • A: 皮質V層錐体細胞からtriple patch-clamp recording(soma*1,dendrite*2).樹状突起からはそれぞれsomaから400μm,770μmの位置で記録.
    • B: EPSP様の電流注入を遠位部電極で行った.各トレースの色は対応する色の電極から得られた膜電位変化を表す.
    • C: 閾値を超える電流注入をsomaに行い活動電位を発生させたところ,樹状突起では振幅が小さくなり,幅が広くなったbackpropagationが観察された.
    • D: BとCで行った刺激を5msの間隔を空けて組み合わせて刺激した.soma→dendriteと電流注入したとき,遠位部でのCa2+スパイクの発生に伴って細胞体でバースト発火が起こった.
    • E: 遠位部にBよりさらに強い電流注入を行ったところ,同様のCa2+スパイクが発生した.
  • backpropagationはシナプス入力によるCa2+スパイク発生を増強し,その結果として細胞体でバースト発火が起こる(Larkum et al., 2004など).このbackpropagationと樹状突起Ca2+スパイク間の相互作用は,ネットワーク活動のなかでの遠位シナプス興奮の細胞体への影響を大幅に増加させ(Qviedo & Reyes, 2002; Williams, 2005),また樹状突起Ca2+スパイクが効率的にNMDA受容体のMg2+阻害を取り除くことで,シナプス可塑性にも寄与する(Kampa et al.,2006; Lettzkus et al., 2006).