Cp.14 - Effects of dendritic voltage-gated channels on action potential backpropagation

不均一なチャネル分布が,樹状突起における活動電位伝搬に対する理解をより一層難しくする.

  • Hoffman(1997)らはCA1錐体細胞尖頭樹状突起のA-type K+チャネル密度が細胞体から距離が離れるにつれ増加すること,加えてdistal dendriteのK+チャネルは細胞体およびproximal dendriteに比べて活性化電位が低いことを示した.

  ■ Fig. 14.7 CA1錐体細胞でのbackpropagationと樹状突起スパイクへの延長されたNa+チャネル不活性化が与える効果

    • A: somaとdendriteでの同時patch clamp recording. somaに電流注入を行い,複数のスパイクを誘起した.上;樹状突起の膜電位変化.backpropagationの振幅は徐々に減少する.下;細胞体の膜電位変化.スパイクの振幅はほぼ一定.
    • B: 樹状突起からcell-attached patch記録.短い脱分極パルスをコマンド電位として入力すると,TTX-sensitiveな内向き電流が観察される.その振幅は漸減し,それは不活性状態(のNa+チャネル)が蓄積することによる(つまり不活性化状態から可活性状態への遷移が遅い).コマンドの入力をやめてから500ms後に再度テスト刺激をおこなっても,不活性状態からは38%しか回復していなかった.
    • C: somaとdendriteでの同時patch clamp recording. backpropagationが樹状突起スパイク発生を抑制する.上;放線層(を刺激して誘起した)シナプス入力によって観察される樹状突起スパイク.中;シナプス入力に先行して細胞体に電流注入(prepulse)を行う.細胞体の発火とシナプス入力の遅れが100msのとき,樹状突起スパイクが発生しない(図に示されているのはおそらくbackpropagation).下;prepulseとシナプス入力の遅れを750msにしたとき.シナプス入力によって樹状突起スパイクが観察される.このprepulseによる樹状突起スパイクの抑圧は,prepuleseに対するシナプス入力の遅延が500ms以内のときに起こる.
  • Na+チャネルの不活性化によるbackpropagationの振幅の減少は,伝搬に好ましくない分岐構造と同時に,分枝へのbackpropagationの流入不全を起こすことに寄与しているかもしれない.
  • backpropagationの振幅は他の要素からも影響を受ける.例えば細胞が高頻度活動をしている間,backpropagationはより樹状突起へ流れ込みやすくなる.